‐ gaze という言葉 ‐
ドイツ語の荒く織った布を意味するタイトルのシリーズです。その語源は中近東の絹織物だそうです。それを聞いたとき、この言葉とガラスが結びつきました。
ガラスと同じ場所で生まれたその絹布の歴史と、織物の工程の膨大な時間、その積み重ねられた時間にあこがれを持ち、瞬間的な吹きガラスの工程に魅了され、相反する二つの「時」の流れをこの言葉に込めています。
‐ 技法について ‐
ベネチアングラスの伝統的な技法のレースグラス・レティチェッロをもとに、より繊細な表情を作りだします。本来、線による模様の美しさを目的とした技法ですが、線が見えないほどの密度で作ることによって、技術を超えた表現になることを目指しています。もともとこの技法が生れた背景は、(ガラスではない本来の)レースの器があると素敵じゃないかというところから当時の職人・マエストロが生み出したものではないでしょうか。そんな想像をしながら作っています。
netz
left : H.400 × W.205 × D.115 mm
right : H.400 × W.205 × D.115 mm
2015
‐繊維が絡まりながら、空気を捕え、形に留めるような器‐
gaze
H.480 × W.245 × D.245 mm
2014
‐ガーゼ。ガラスと同じ中近東で生まれたその絹布の歴史と時間を織り込む様に。糸を取り出すようにガラスを伸ばし、撚糸のように束ね、線を重ね面を覆う。その過程を経ることで、吹きガラスで作られる瞬間的な形の中に織物の持つ「時間」を内包する事が出来る。‐